怪物【126分】
映画情報
- 2023年制作 時間:126分
- 製作国:日本
監督
是枝裕和
ネタバレ感想
映画館で。
キャスト情報だけの時は安藤サクラと瑛太が夫婦で少年たちが兄弟、田中裕子がおばあちゃんなのかなって思っていた時期もありました。
予告が流れる時期は安藤サクラは母親、瑛太は教師で「教師の体罰があったか、なかったかの話かー。うーん。あまり興味がわかないな」って思ってました。
カンヌでクィア賞を取ってからは「あー、少年たちの仲の良さを周りに茶化されて恥ずかしくなって喧嘩しちゃって、そんでなんだかんだで、教師の体罰って流れになっちゃうのかな」って思ってました。
まぁ、ざっくり言うとそんな話でした。
安藤サクラの母親視点、瑛太の教師視点、最後に少年たち視点の三部作構成で雑居ビルの火事から始まるお話。
面白かったです。
母親視点の時の教師の態度があからさまに気持ち悪くて、お前体罰やってそうだな!って感じだったので瑛太の演技が冴えてたんでしょう。
校長室での母親と校長と先生たちのやり取り、あれちょっと笑ってしまった。
安藤サクラ「はいじゃないでしょ!」(キレてる)
田中裕子「ええ」
安藤サクラ「はいをええに変えてんじゃねーよ」的な流れで笑ってしまった。
あそこで笑わなかった他の先生たちすごい。
校長の机に孫との写真を応接間に見えるように置いてあるのちょっと気になったんだけど、その種明かしが次の教師視点でわかって「校長・・・あんたって人は・・・」って思ったね。
大人のキャストもみんな良かったですけど、校長の田中裕子の凄みが良かったですね。
瑛太が「僕はやってません!」って謝罪の場に出るのを拒否った時、田中裕子が「お前が学校を守るんだよ!(お前が学校辞めたら学校はこれ以上非難されない)」って言った顔が鉄砲玉に語るヤグザの組長にみえた。
是枝監督の好きそうな顔立ちの少年たち、とても良かったです。
みなとくんはちょっと演技が危ういところもありましたが、そんな不器用な感じもみなとくんっぽくて良かったかもしれませんね。
星川くん、難しい役どころを無垢な感じで演じてましたね。
トンネルを抜けたら廃バスがあってそこがふたりだけの秘密基地。
って、急にジブリみたいなファンタジーの世界になるのが逆に良かった。
ふたりだけで誰にも傷つけられない場所があそこだけだったんだから。
廃バスでふたりで遊んでるシーンでちょっと泣けてきました。
みなとくん、基本星川くん呼びなのにスマホの登録は「より」にしてて切なくなった。
他の同級生の子たちもみんな演技上手でしたね。
猫の死骸を見つけた女子が読んでたのはBL漫画っぽかったけどBL漫画ですか?
いじめっ子のカマタくんは家ではお家の新聞屋の手伝いをする子なんですよね。
視点が変わるとみんな良い部分と悪い部分が見えてくる。
星川くんの父親視点でみたら星川くんの父親の良さもあったのかもしれないね。
嵐の後、みなとくんと星川くんが楽しそうに走っていくシーンでぶったぎりエンドだったけど、これからふたりが傷つかない場所に行ってほしいと思いました。
是枝裕和監督作品は『誰も知らない』からほぼおっかけてみてますが、この作品で久々に心をつかまれました。子供が中心にいる作品はやはり強い。
星:★★★★★
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